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ジン温故知新第8回

156.BEAMS

 今年もあっと言う間に12月になりました。普段の生活に戻るにはもう少し時間が必要のようですが、皆様が元気に新年をお迎えできる事を切に願っております。

 さて、今回ご紹介するジンは「ビームス限定モデル」です。ご存知の方も多くいらっしゃるかと思いますが、今年、ビームス創業45周年を記念した限定モデルを発表しました。ビームスについてここでお話する必要はないかと思いますが、輸入およびオリジナルのアパレルや雑貨を販売する日本におけるセレクトショップの草分け的な存在です。ビームスとジンの関係は1995年ごろからと記憶しております。1980年代から2000年の初めごろまで銀座松坂屋の別館にモノショップという雑貨ショップがありました。これはモノ系雑誌のパイオニア的存在の「モノマガジン」と連携したショップで、モノマガに掲載された製品を実際に購入できる画期的なショップでした。当時はインターネット等がまだ一般的ではなく、この様なお店の店頭は情報収集の場所としても貴重な存在でした。このモノショップにビームスのプレスの方が時々足を運んでいました。そこで初めてジンの存在を知ることになります。その後、1994年に日本でジンを本格的に展開する事になり、この時にビームスの門をたたいた事が今に繋がっています。当時は通常のジンもいくつかの店舗で扱っていましたが、今回はビームス限定をご紹介します。

156.BEAMS
156.BEAMS

 最初の限定モデルは今でも色あせないジンの代表的なモデル156をベースにダイヤルにBEAMSと by Sinnと印した限定です。製作本数は確か50本程度の貴重なモデルです。ビームスファンならお気づきかもしれませんが、このBEAMSのロゴはオフィシャルな書体ではありません。ある意味当時は大らかな時代でした。by Sinnの発想もここでは深く語りませんが、もうお気づきですよね。

656.BEAMS
656.BEAMS

 ここから数年後の2002年に発表されたモデルが「656.BEAMS」です。今に続くビームス限定モデルの流れはこのモデルから始まりました。当時、絶大な人気モデルであったモデル656をベースにインデックスと針を大胆な蛍光イエローに変えて、インデックスの4時と5時の間にBEAMSのロゴを配置しました。この辺りのデザインセンスはビームスならではのセンスです。このイエローはNATO軍が使用しているヘリコプター「ユーロコプター」に搭載されているジンのコクピットクロックに採用されているイエロー蛍光塗料をイメージしています。当時のビームスのバイヤーが(今もこの方が担当しています)フランクフルトのジン社を訪問した際に見た資料にあったこのイエローがとても印象に残り、採用し続けています。このモデルは海外のビームスファンにも好評でした。復刻の声が今でも多くありますが、一度作った限定モデルは同じ仕様では二度と出さない、とのポリシーで今のところ復刻する予定はありません。

756.S.BEAMS

 656から三年後、当時発表されたばかりのモデル756.Sをベースにしたモデルが「756.S.BEAMS」です。その大胆なダイヤルデザインは今でも色褪せていません。その後ブームになるブラックインデックスを一早く採用し、656からのイエローを踏襲した中に赤が指し色として活かされています。

756.S.BEAMS

 656から三年後、当時発表されたばかりのモデル756.Sをベースにしたモデルが「756.S.BEAMS」です。その大胆なダイヤルデザインは今でも色褪せていません。その後ブームになるブラックインデックスを一早く採用し、656からのイエローを踏襲した中に赤が指し色として活かされています。4時と5時の位置にもビームスのロゴマークが描かれています。このデザインを見た時に果たしてジン社が承諾するかが不安でしたが、日本のマーケットにおけるビームスの影響力をジン社でも理解しており(シュミット社長も来日した際に新宿のビームスを訪問しています)、快くGOサインが出ました。

 4時と5時の位置にもビームスのロゴマークが描かれています。このデザインを見た時に果たしてジン社が承諾するかが不安でしたが、日本のマーケットにおけるビームスの影響力をジン社でも理解しており(シュミット社長も来日した際に新宿のビームスを訪問しています)、快くGOサインが出ました。

756.S.BEAMS
756.S.BEAMS

 製品が届いた時の驚きは今でも憶えております。デザインの仕様書である程度の予想は出来ていましたが、製品はどう出来るのか多少の不安がありました。実際の製品を手にした時その不安は一瞬で飛びました。それは正にジンのモデルだったからです。一度見たら忘れられないデザインとその存在感。全てに脱帽でした。このモデルも大好評でした。この756以降、次のビームス限定モデルが出るには少し時間がかかりました。この間に様々な事情から残念ながらビームスでのジンの取扱いが終了になりました。

556.BEAMS
556.BEAMS

 また機会があれば限定モデルを作りたいですね。との話を続けながら次のタイミングを探っていた中で発表されたのが2013年「556.BEAMS」です。時計をご覧いただければお分かりになると思いますが、656と756の流れをきちんと踏襲したモデルです。数字とインデックをアウトラインで表現しているのもジンでは初めての試みでした。このモデルではBEAMSのロゴは白で描かれています。

 そして今年発表されたのが「356.FLIEGER BEAMS45th」です。ベースモデルはジンの定番356。そしてそのデザインは伝説のモデルともいえる「756.S.BEAMS」をオマージュしています。しかし全く同じでは無く違う時計として表現されている所は流石ビームスならではです。このモデルは既に発売されており今回も好評との事です。限定本数は100本。

356.FLIEGER BEAMS45th

 今回は「なぜビームスはジンを選んだのか」を簡単にご紹介しました。実はビームスのプレスの方がモノショップに来ていた頃、私もその場にいました。「この時計、カッコいーね」と話されていたのを今でも憶えています。もしかしたら人やモノの繋がりはそんなところから始まるのかもしれません。そしてジンがそれだけ魅力的なプロダクトだった事の証でもあります。実は限定モデルを作る過程では予想外の事が起きるもので、毎回なにかしらの問題がありました。かなりエネルギーを使いました。もっともっとお話ししたいエピソードがあるのですが、それはまたの次の機会にしたいと思います。今回もお付き合い頂いてありがとうございました。
 皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。