Mail magazine special contents vol.49

Watches with TEGIMENT technology.テギメント・テクノロジーを搭載した時計

テギメント・テクノロジーを搭載した時計

 プロフェッショナルたちの使用を想定した高い耐久性で知られるジンの時計には、ジンならではのテクノロジーが搭載されていることはもうすでにご存じだと思いますが、異分野から取り入れた技術とはいえ、決してオーバースペックな奇をてらったものばかりではありません。プロのパイロットやダイバー、特殊部隊でなくとも、たとえば防水性や温度変化、耐磁性能などといった要素は、一般的な生活の中でも重要なスペックです。そして、傷に対する耐性も日常生活の中では気になるところです。そこで、今回のメールマガジンでは、ジンのコレクションの中で耐傷性の高いケースを持つアイテムをカテゴリー別にご紹介いたします。

 ジンでは素材の耐傷性を高めるためにテギメント・テクノロジーという浸炭加工を利用した方法で、時計に傷が付くのを防いでいます。テギメント・テクノロジーは2003年にバーゼルワールドの国際時計宝飾展で発表されたデュオクロノグラフ756(現在は生産終了)で初めて導入されました。当初、テギメント・テクノロジーはステンレススチールにのみ使用されていましたが、現在ではチタンでも採用され、マットやポリッシュ等、仕上げの種類を問わず可能です。“テギメント”は、ラテン語で『保護層』を意味する言葉です。

ロゴマーク
“TEGIMENT”という文字
“TEGIMENT”という文字
“TEGIMENT”という文字

 現行モデルのテギメント・テクノロジーを施した時計ケースやブレスレットのバックルには、“TEGIMENT”という文字や、これを表すロゴマークが刻印されています。

それではコレクションを見ていきましょう。

PILOT WATCHESパイロットウォッチ

717ジンの伝統的な
コックピットリストウォッチ

717

 モデル「717」は、ドイツ空軍トルネード戦闘機搭載のジン社製コックピットクロック「Nabo 17 ZM」にインスピレーションを得て2021年に開発されたクロノグラフですが、開発のきっかけはトルネード戦闘機のパイロットから、このコックピットクロックそのままの腕時計を作ってほしいと依頼を受けたことでした。このコックピットクロックの外観を作り出すため、717にはジンのキャリバーSZ01を採用し、センター配置のクロノグラフ60分積算計が搭載されています。コックピットクロックと同様にインナーベゼルとサファイアクリスタルが一体化した独創的なデザインで、ジンのDNAを細部に至るまで完璧に体現した、唯一無二の魅力的な時計です。

93660分積算計を備えた
バイコンパックス・クロノグラフ

936

 クロノグラフ「936」の特徴は、3時位置の積算計と9時位置の秒針にフォーカスしたバイコンパックスのレイアウトです。さらに、3時位置の積算計は操作性の高い60分積算計で、従来の30分積算計において必要とされる二周で一時間という積算をする必要がなく、60分が針の一回転で計測できます。明確なレイアウトと洗練されたディテールで、2020年にはレッド・ドット・デザイン賞を受賞しています。テギメント以外にもマグネチック・フィールド・プロテクションにより80,000A/m(1,000ガウス/100mT)という高い耐磁性を備えた耐久性の高いクロノグラフです。

856.Bジンを代表するテクノロジーを搭載した
パイロットウォッチ

856.B

 『時計はどこまで機能的でいられるか?』これは創業以来、ジンが問い続けてきたことで、その答えがモデル「856.B」に反映されているコックピット・ナビゲーション・クロック由来の迅速かつ明確な読み取りができるよう最適化されたデザインなのです。3・6・9・12のインデックスを強調し、コックピット内の強い光の反射を抑えるマットブラックのダイヤルは、針やインデックスが最高のコントラストを成しています。80,000A/mという高い耐磁性を持ち、Arドライテクノロジーにより精度の安定とサファイアクリスタルの曇りが防止されます。3つのジン・テクノロジーを搭載した信頼性の高いタフネスウォッチです。

MISSION TIMERSミッションタイマー

EZM1.1Sミッションタイマー25周年で誕生した
500本の限定モデル

EZM1.1S

 極限の状況下でも高い機能性と耐久性を発揮するジンのミッションタイマーEZM1.1Sは、センター配置の60分積算計が最大の特徴です。これはシリーズファーストモデルのEZM1のスタイルを受け継いでいます。逆位置リューズや最適な視認性を確保したダイヤルはミッションタイマーに共通するデザインです。-45℃から+80℃での精度保証Arドライテクノロジーによる精度の安定と風防の曇り防止、特殊結合方式で外れることのない回転ベゼルに加え、水中でのクロノグラフ操作も可能。2022年、世界限定500本で誕生したジン最強のクロノグラフです。

EZM9.TESTAFパイロット規格TESTAFに準拠したモデル

EZM9.TESTAF

 プロフェッショナルユースの計器として信頼性と性能に関して高い要求を満たすため、このミッションタイマーEZM9.TESTAFパイロットウォッチの技術規格TESTAFに基づき、アーヘン応用科学大学で試験・認証されています。ケース直径は44mmと少し大型ですが、テギメントにより硬化されたグレード5の高強度チタンの採用で、ブレスレット仕様のモデルでも約133gという軽量化を実現しています(ケース直径38.5mmのステンレススチール製モデルは約155gです)。特殊結合方式により固定された回転ベゼルにはサファイアクリスタルがはめ込まれているので、傷が付きにくいのはもちろん、サンドマット仕上げのケースとのコントラストも抜群です。

EZM12救命救急のために開発された
数々の機能を備えたミッションタイマー

EZM12

 救急医が派遣される救命活動はすべて、時間との戦いです。ドイツには最初の10分で重傷患者に応急処置を施し、事故から1時間以内に病院に搬送する「プラチナの10分」と「黄金の1時間」という基準があります。モデルEZM12は、このような救命活動のために設計されたミッションタイマーです。心拍数を計測するパルスメーターや、安全性に配慮したケース製作、時計のクリーニングを考慮してストラップや回転ベゼルの取り外しを容易にした設計は、このモデルならではの仕様です。ヘリコプターのローターの形状にデザインされた秒針もユニークで、もちろん耐久性も他のモデルに引けを取らない強靭なモデルです。

 ここまでご紹介してきた時計のケースには、チタン製のEZM9.TESTAFを除き、すべてステンレススチール904Lが採用されています。以前、ジン・テクノロジーの詳細をご紹介したメールマガジンvol.24の中では、テギメント加工済みのステンレススチールと、テギメントなしのものを実際にスクラッチしている動画をご覧いただけます。

動画はこちらから

DIVING WATCHESダイバーズウォッチ

U50.S直径41mmのケースに500m防水を備えた
ダイバーズウォッチ

EZM1.1S

 ジンのダイバーズウォッチUシリーズは、ケース直径44mmがスタンダードサイズでしたが、2020年のこのシリーズに誕生した直径41mmの待望のサイズがU50シリーズです。中でもケースにテギメントをベースとしたブラック・ハード・コーティングを施したU50.Sは、オールブラックにダイバーズウォッチにとって必要不可欠な部分はホワイトに、日付表示などのダイビング時には必要のない部分はレッドにしたカラーリングが特徴的です。標準装備はブラックのシリコンベルトですが、写真のようにアクセントカラーと揃えたレッドのシリコンベルトを付けると、表情も大きく変わります。

U2.S第二時間帯表示を備えた2,000m防水の
ダイバーズウォッチ

U2.S

 U2.Sは、海外に行ってダイビングするときに便利な第二時間帯表示を備えた2,000m防水のダイバーズウォッチです。“必要な機能だけを搭載する”というジンの時計製作における哲学に基づき、ダイビングに本来必要な機能だけに集中するため、第二時間帯表示は赤色で表示しています。何故なら、海の中では水深10mを越えたあたりから赤い色が見えにくくなるからです。さらに、U2シリーズは3つのドライカプセルを搭載しており、2つはムーブメント内部に、さらにひとつはダイヤルの6時位置に搭載されています。ダイヤルからドライカプセルが見えるのは、このU2シリーズU212T1だけです。

UX.S.GSG9驚異の5,000m防水と高い視野角度を持つ
ユニークウォッチ

UX.S.GSG9

 UX(EZM2B)シリーズのダイバーズウォッチは、特殊部隊GSG9の海上部隊が着用する公式時計です。シリーズ中のモデルUX.S.GSG9は、5,000mの防水性能を実現するためハイドロ・テクノロジーを採用しています。特殊なオイルを充填することで、水中での反射や曇りを完全になくし、またどの角度から見ても文字盤を読みとることができます。標準装備はブラックのシリコンベルトですが、テギメントをベースとしたブラック・ハード・コーティング仕上げのステンレススチール製ブレスレットを装着すると、一層精悍な印象になります。ハイドロとテギメントという2つの技術の組み合わせにより、日常使いにも最適なものとなっています。

 ジンがこれらのUシリーズの時計ケースに採用しているUボート・スチールは、ドイツの潜水艦メーカーであるティッセンクルップ マリンシステムズが、ドイツ海軍の212クラスの非原子力潜水艦の外殻のために開発した特殊鋼です。海水に長期間さらされると悪影響を受けて腐食する可能性のある通常のステンレススチールとは対照的に、潜水艦に使用されているUボート・スチールは、海水との長期間の接触に高い耐性を持った素材です。また、最高の非磁性素材であり、ひび割れに対して極めて高い耐性があります。その強度は、通常の時計ケースに使用されている316Lの1.55倍以上です。

 この3つのカテゴリー以外にも、そして上記3つのカテゴリー内にも、ほかにもまだまだテギメント・テクノロジーにより時計ケースが硬化処理されたモデルがたくさんあります。打痕によるへこみは免れることはできませんが、10年以上使用した時計でも、まるで新品のようにスクラッチによる傷のない状態は、驚かれる方も多いです。

 現行モデルの中でこの技術を採用した時計は、公式サイト内の以下のページの一覧表でご覧いただけます。日常生活の中で、時計の傷が気になるという方は、是非、どのようなラインナップがあるのかご覧になってみてください。

『ジン・テクノロジー搭載一覧』ページ