Professional × Sinn Watches過酷な条件下で活動するプロたちが愛用する理由

At home all over the world - but especially in the mountains

マーティン・レイトルは2度目の南極大陸遠征でEZM12を着用しました。GPSは午後9時を示していますが、昼のように明るいです。地理座標によると、マーティンが実際に地球上最南端に位置する南極大陸にいることがわかります。南極大陸は南極点を中心として広がる大陸で、南極点を中心に南緯66度33分までの地域については一般的に南極圏と呼ばれています。

EZM12を装着し任務につくアルプス航空救助隊救急医、マーティン・レイトル

スイス、バーニーズ高原。レスキューヘリコプターはまだ地上で待機中。壮大なアルプスの地で、秋のこの日に初めて任務につくのは、救急医マーティン・レイトル。緊急信号が鳴ると、パイロット、救急救命士とともに離陸します。彼らの使命はただひとつ、怪我をしたハイカー、登山者、スキーヤー、パラグライダーを危険な状況から救うことです。マーティン・レイトルは2013年からこのような救助活動に関わっていますが、これはマーティンの多方面に渡る活動の中のひとつでしかありません。

EZM12を着用し、完全装備のレスキューヘリコプターに搭乗する救急医マーティン・レイトル。レスキューヘリコプターは昼夜を問わず一年中稼動。山岳地での救助活動は困難を極めるので、特別な訓練を受けた山岳救助隊員も同行します。

彼は救急救命士であると同時に、内科医、平和安全保障研究の修士号保持者、そして山岳スキーガイドの国家資格も持っています。マーティンは自分のことを「変わった経歴を持つごく普通の男」であると語っています。たしかに、彼がそのように自称する背景には、波乱万丈の人生ドラマがありました。

好奇心旺盛でおおらかな性格

マーティン・レイトルは1975年に生まれ、バイエルンの森のはずれに位置するプラットリングという町で育ちました。医学を学び、全国各地で研修医としての期間を終了すると、広い世界へと活躍の場を移しました。ドイツ連邦軍や人道的支援団体「国境なき医師団」の海外展開事業に参加し、リュックサックを背負って志を同じくする同士たちとともにボランティア活動に専念しました。下の枠内のリストには、彼がこれまでに訪れたことのある興味深い国名が列挙されています。ここまで読んできた人は、マーティン・レイトルを好奇心旺盛でおおらかな性格ではないかと思い描いていることでしょう。しかし彼自身は、自分を無鉄砲だとか、極地を目指す冒険家だとは考えていません。彼の人生の根底につねに流れているものは、自分の広範囲にわたる活動への興味と世界への飽くなき好奇心です。マーティンは、父親の影響で世界各地を旅することに強い興味を抱くようになりました。彼の父は、地方の一団体にすぎなかったアルプス協会のメンバーを引き連れて、発展途上のクルド地域、トルコのアララット山を越えてはるかウエスト・グリーンランドまで遠征を行った人物でした。

マーティン・レイトルが遭難者をマウンテンロープの上で保護しているところ。この救助任務遂行で使用するヘリコプターはウィンチを装備していないため、十分な長さの固定ロープを使用します。このような救助作業では、ときにはパイロットの飛行技術が試されるような最大200メートルもの間隔幅が必要なこともあります。

紛争・戦闘地域への関心

マーティンは、とくにアフリカや中東の紛争地域に強く関心を寄せています。その理由をたずねると、「純粋に、困っている人々を助けたかったのです。それと同時に、紛争の背後に隠れている事実を確認したかった。ここに暮らす人々はどのように考え、感じているのか。紛争地域をじかに理解することで、偏見のない視点から物事を見つめたいと思いました。民間人、医療従事者、救援者のいずれの立場であろうとも、その現場に入ることによって初めて、そこでの紛争の真実が見えてきます」と彼は言います。

医師兼山岳ガイドとしての訓練

しかし、海外任務での壮絶な体験は言うに及ばず、ひんぱんに行われる見知らぬ地域への遠征はしだいにマーティンにとって大きな負担となり、これから先のことを考え直すようになっていきました。このような生活を長く続けて、ほんとうに自分の心の平静を保つことができるのだろうか。世界の闇の部分にあまりにも目を向けすぎてはいないだろうか。現状を考えると、人道支援のキャリアを積むことが、自分にとっての最終目標だと言えるのか ? 自問自答しているうちに、マーティンはようやく答えを見出しました。休暇のたびに訪れるのは、いつも決まって山々の自然でした。山はいつも彼の人生の一部であり、子どものころ山を愛する両親に連れられて、山道を延々とハイキングしたものです。また、早い時期からスキーにも慣れ親しんでいました。それなら、自分の好きなことを仕事にすればいい、とマーティンは考えたのです。現在彼はバーニーズ高原で生活し働いています。冬季はレスキューヘリコプターの救急救命医として、夏はおもに山岳ガイドとして働き、暮らしと仕事の健全なバランスを維持しています。

EZM12:山岳レスキューで活躍

世界中を旅すること以外にマーティンが夢中になっているものは、機械式時計です。彼は、機械式時計とはまさに品質を極める職人魂の発露がかたちとなったもの、と考えています。個人的に思い入れのある時計を身に付けることに喜びを感じ、次の世代に受け継いでいけるアイテムだと言えます。
彼は信頼できる時計を探求し続け、ついに航空救助活動のために特別に設計されたミッションタイマーEZM 12にたどり着いたのです。
彼のような救命医にとっては、まさに理想的な時計です。マーティンが着目するのは、この時計のもつ耐久性や機能性という本質が、そのままデザインのコンセプトとして反映されている点です。
「EZM 12を着用して任務につくことはこの上ない喜びです。カウントアップの内側回転ベゼルと外側回転ベゼルのカウントダウン機能の両方を備えており、時間計測にとても便利です」
結局、救助任務全体に言えることですが、時間との勝負なのです。レスキューヘリコプターがどこに着陸しようと、1分という時間が貴重なのです。
「何時何分に遭難者のもとに到着したか。何時何分に薬を投与したか。何分蘇生にかかったか。救急救命医として、これらの質問に即答することが求められ、それだけに時間経過を注視することはいっそう重要となるのです。EZM 12は、そのような任務の特殊性において最高の仕事をしてくれます」と、マーティンは山岳救助活動における強力なツールEZM 12の利点を熱く語っています。

EZM12:南極における任務

これは別の言い方をすれば、EZM12がもうひとつの壮大な任務において、遺憾なくその機能を発揮することを証明する絶好のチャンスと言えます。マーティン・レイトルは、アルフレッド・ヴェグナー協会を代表して、再び南極遠征に参加しました。彼が持つ医師と山岳ガイドのスキルも、この遠征において試されることとなりました。もうひとつのミッション・タイマー EZM 10は彼が初めて南極を訪れたときに携帯した時計ですが、今回の遠征にも持参して、過酷な環境下での風雪に耐え、見事にその役目を果たしました。


南極氷床にある岩だらけの島で撮影されたマーティン・レイトル。彼はこれを称して「野外修道院」と呼んでいます。ここに座っていると、誰にも邪魔されることなく人生の大切な部分に思いを馳せることができるからです。EZM12とともに臨んだ今回の南極調査は彼にとって2度目の遠征で、アルフレッド・ヴェグナー協会を代表して参加しました。

マーティン・レイトルはこれまで世界中の国々を訪れて、その美しさや魅力を堪能してきましたが、同時に心に重くのしかかるような悲惨な状況も数多く目撃してきました。

アフリカ:ブルキナファソ、象牙海岸、ガーナ、カメルーン、リベリア、マリ、ナミビア、ニジェール、ナイジェリア、ルワンダ、スーダン、南アフリカ、中央アフリカ共和国
中東・アジア:アフガニスタン、エジプト、ジョージア、イラン、イスラエル、パレスチナ自治区、ヨルダン、キルギスタン、レバノン、モロッコ、シリア、タジキスタン、トルコ、アラブ首長国連邦
アメリカ:アラスカ、アルゼンチン、ボリビア、チリ、ブラジル、グアテマラ、グアドループ、ペルー、ウルグアイ
極地:グリーンランド、北ノルウェー、スバールバル諸島、南極