Mail magazine special contents vol.58

Real Mission Timers
リアルミッションタイマー

ジンのコレクションの中で「EZM」シリーズにカテゴライズされていなくとも真のプロフェッショナルたちに向けEZMと同等のコンセプトで作られた腕時計があります。今回のメールマガジンではそんな“リアルミッションタイマー”をご紹介いたします。

リアルミッションタイマー

 ドイツ語では「Einsatzzeitmesser」、略して「EZM」シリーズは“ミッションタイマー”と呼ばれ、特定の目的のために特別に開発されたプロユースを想定した腕時計を指しています。常に優れた視認性を提供し、それぞれの用途に必要な機能性と操作性により形作られています。これに違わず同様に、日常とはかけ離れた過酷な環境下でのプロユースを想定し、その素材選びから設計までこだわり抜いて作られた“リアルミッションタイマー”とも呼ぶべき腕時計が今年の新作「T50シリーズ」です。T50シリーズには、チタン製ケースの「T50」、チタン製ケースにジンが新たに開発したゴールドブロンズ125製のベゼルを備えた「T50.GBDR」、ゴールドブロンズ125製のケースにチタン製裏蓋を備えた「T50.GOLDBRONZE」の3つのモデルがあります。

まずは素材選びから - チタン

グレード5のチタンを採用

 T50シリーズは、その名の通りチタンを基本素材としています。チタンは1790年に元素として発見され、ギリシャ神話のタイタン(巨人)の名にちなみ「チタン(チタニウム)」と命名された金属です。工業製品に使用され始めたのは1940年代で、「軽い」「強い」「錆びにくい」といった特性から1960年代には宇宙開発の分野で注目されはじめ、現在では建材としても使用されています。耐食性に優れていることから海水を淡水化する水処理プラントや海水を使用した熱交換器にも採用されており、ダイバーズウォッチの素材としては最も適した素材であると言えます。

 プロフェッショナルを想定したリアルミッションタイマーでは、まず素材選びが重要な要素のひとつです。ジンが採用しているチタンの種類や特性については『ジン メールマガジンvol.53 ジンが採用しているチタンについて』でもご紹介しておりますが、T50シリーズにはグレード5のチタンを採用しています。グレード5のチタンは非常に硬く、高い圧縮強度を得ることができるため、ダイバーズウォッチの耐圧ケースをより薄く作ることができるのです。

新開発の素材ゴールドブロンズ125

ゴールドブロンズ125ゴールドブロンズ125

 今年、ジンは4年という長い歳月をかけ開発を進めてきた新素材「ゴールドブロンズ125」を完成させました。時計業界でエイジング(パティナ)を楽しめる素材として近年注目を集めているブロンズは、銅を主成分とし錫や亜鉛などその他の様々な金属を含有している銅合金で、酸化が進むと緑青が発生します。これに対し、ジンが開発したゴールドブロンズ125は、銅に8分の1の割合でゴールドを混合し一般的なブロンズ素材で添加物として出現する他のあらゆる金属を0.002%未満の検出限界値まで排除することで、海水に対する耐食性と肌への適合性を高めています。ゴールドブロンズ125の表面は酸化により黒く経年変化しますが、一般的なブロンズに比べその変色のスピードは緩やかです。ゴールドブロンズ125は、金属工学の分野における幅広い専門知識により自社開発した金属で、サンプル素材の製作までを社内で行いました。時計ケースを製造するための量産用金属は、ドイツのフォルツハイムにあるAgosi(アゴシ)という合金の精錬を行うメーカーがジンの仕様通りに合金生産し、ジンのケースメーカーSUGに収め、SUGにより精密な時計ケースが完成します。

 ゴールドブロンズ125は、T50.GOLDBRONZEのケースとベゼル、T50.GBDRの回転ベゼルに採用されており、現在、特許を申請中です。

 Tシリーズに採用されているナイロン製テキスタイルストラップはヨーロッパ製で、高品質合成繊維の二重仕立てで作られており、耐久性、着け心地、速乾性に優れています。20kgの引張力でテスト済みなので、安心の強度も持っています。リアルミッションタイマーにおいては、すべてのマテリアルがその用途に合わせ選び抜かれ、最高品質の時計を作り上げます。

ゴールドブロンズ125

 今年、ジンは4年という長い歳月をかけ開発を進めてきた新素材「ゴールドブロンズ125」を完成させました。時計業界でエイジング(パティナ)を楽しめる素材として近年注目を集めているブロンズは、銅を主成分とし錫や亜鉛などその他の様々な金属を含有している銅合金で、酸化が進むと緑青が発生します。これに対し、ジンが開発したゴールドブロンズ125は、銅に8分の1の割合でゴールドを混合し一般的なブロンズ素材で添加物として出現する他のあらゆる金属を0.002%未満の検出限界値まで排除することで、海水に対する耐食性と肌への適合性を高めています。ゴールドブロンズ125の表面は酸化により黒く経年変化しますが、一般的なブロンズに比べその変色のスピードは緩やかです。ゴールドブロンズ125は、金属工学の分野における幅広い専門知識により自社開発した金属で、サンプル素材の製作までを社内で行いました。時計ケースを製造するための量産用金属は、ドイツのフォルツハイムにあるAgosi(アゴシ)という合金の精錬を行うメーカーがジンの仕様通りに合金生産し、ジンのケースメーカーSUGに収め、SUGにより精密な時計ケースが完成します。

 ゴールドブロンズ125は、T50.GOLDBRONZEのケースとベゼル、T50.GBDRの回転ベゼルに採用されており、現在、特許を申請中です。

ゴールドブロンズ125

 Tシリーズに採用されているナイロン製テキスタイルストラップはヨーロッパ製で、高品質合成繊維の二重仕立てで作られており、耐久性、着け心地、速乾性に優れています。20kgの引張力でテスト済みなので、安心の強度も持っています。リアルミッションタイマーにおいては、すべてのマテリアルがその用途に合わせ選び抜かれ、最高品質の時計を作り上げます。

高い耐久性とDNVにより証明された耐圧性

Tシリーズ
Tシリーズ

 時計は計測機器であるという考え方は、ジンの時計製作における基本精神です。よってリアルミッションタイマーも徹底的に時間計測の機能性が追求されています。Tシリーズはそのシンプルなダイヤルデザインと2色に色分けされた夜光処理からも一目瞭然です。

Tシリーズ
Tシリーズ

 さらに、リアルミッションタイマーでは耐久性が重要な要素です。Tシリーズでは時計を湿気から守り精度を安定させ、急激な温度変化でも風防の曇りを防ぐArドライテクノロジーを搭載しています。時計ケースの7時位置に取り付けられたドライカプセルがその証です(写真左)。また、回転ベゼルはSUGにより精巧に作られたケースにビス止めにより固定されているため絶対に外れません(写真右)。さらにTシリーズの回転ベゼルは2点を押し下げないと回転できない安全システムを備えているため、回転ベゼルが誤って回転してしまうことも防ぐことができます。シリーズ中、T50のみはチタン製の回転ベゼルに耐傷性の高いテギメント加工が施されています。

Tシリーズ

 さらに、リアルミッションタイマーでは耐久性が重要な要素です。Tシリーズでは時計を湿気から守り精度を安定させ、急激な温度変化でも風防の曇りを防ぐArドライテクノロジーを搭載しています。時計ケースの7時位置に取り付けられたドライカプセルがその証です)。

Tシリーズ

 また、回転ベゼルはSUGにより精巧に作られたケースにビス止めにより固定されているため絶対に外れません。さらにTシリーズの回転ベゼルは2点を押し下げないと回転できない安全システムを備えているため、回転ベゼルが誤って回転してしまうことも防ぐことができます。シリーズ中、T50のみはチタン製の回転ベゼルに耐傷性の高いテギメント加工が施されています。

 Tシリーズにおける50気圧/500mの耐圧性能は、2005年以来、ジンのダイバーズウォッチの認証を行っている船級認証協会DNVにより検査・認証されています。

T50とT50.GBDRに発行された認定書
T50とT50.GBDRに発行された認定書
T50.GOLDBRONZEに発行された認定書
T50.GOLDBRONZEに発行された認定書

着け心地と操作性を追求した設計

 Tシリーズではサイズ感と装着感も徹底的に追及されています。リアルミッションタイマーは決して過度になりすぎず、見た目も派手でないことが重要です。ほどよいボリューム感で、必要最小限の直径41mmの軽量なケースの中にあらゆる要素を詰め込んでいます。ゴールドの合金を採用したモデルでさえ、サンドマット仕上げにより落ち着いた印象に仕上げられています。

Tシリーズ
Tシリーズ
Tシリーズのチタンはケースや裏蓋はグレード5ですが、ブレスレットとバックルはグレード2を使用しています。
Tシリーズ
Tシリーズのチタンはケースや裏蓋はグレード5ですが、ブレスレットとバックルはグレード2を使用しています。

 Tシリーズの回転ベゼルは分厚いグローブを付けていても操作しやすい大きな溝が付いていますが、その形状を見ていると、ジン社オーナーのローター・シュミットは、IWC時代に自身がケース製作を手掛け、当時、大きな注目を集めた「オーシャン2000」の誕生から40年あまりたった今、このダイバーズウォッチへのオマージュとしてTシリーズを作り上げたのかもしれません。ジンのTシリーズは、歴史的名品であるチタン製ダイバーズウォッチのDNVを受け継いだミッションタイマーと言えそうです。

プロフェッショナルダイバーを想定し開発されたTシリーズは素材にこだわり、高い耐久性を持ち、徹頭徹尾考え抜いて設計された紛ごうことなきリアルミッションタイマーです。

“本物中の本物”は目立つことなくそれでいてどこか妙に印象的なスタイルを持っているものです。