2022 TOP10ジン 人気ランキング2022
毎年恒例、ジンの人気ランキングです。昨年は歴代最多の156種類の時計が販売されました。この中から、今回のランキングではあえて限定モデルを除いたレギュラーモデルのトップ10を発表いたします。
- 1556シリーズ
- 2EZM3/EZM3.F
- 3103.B.AUTO/103.B.SA.AUTO
- 4EZM13/EZM13.1
- 5U50シリーズ
- 6104シリーズ
- 7856.B/856.BS
- 8U1シリーズ
- 9UXシリーズ
- 10356.FLIEGER/356.SA.FLIEGER
TOP3三針モデルのトップ3
1556 Series
単品で集計してもシリーズ合計で集計しても断トツにトップなのが、556シリーズのモデルです。シリーズ中では特にブラックダイヤルにバーインデックスの「556」とアラビア数字のブラックダイヤルモデル「556.A」が人気を二分します。556は、最もシンプルにコンパクトにジンのパイロットウォッチの特徴が集約されたモデルで、秒針を赤にしたものが556.I.RSです。
3、6、9、12をアラビア数字にしたコックピットクロック由来のマットブラックダイヤルを備えた556.Aは、最もジンらしいフェイスを持つモデルと言えます。秒針の赤い556.A.RSは、ダイヤルのブラックと針やインデックスのホワイトとほどよいバランスのコントラストを成しています。
2017年に556シリーズにサンレイ仕上げのブルーダイヤルの556.I.Bが登場しました。日付表示を排し時間表示に特化したこのモデルは、ロジウムコーティングを施した針やインデックスが洗練された印象を作り出し、人気ランキングでも上昇中です。現在、このシリーズのダイヤルバリエーションは10種類です。
556シリーズは、直径38.5mmのほどよいケースサイズに、裏面のシースルーバックからムーブメントの動きを楽しめます。標準仕様はステンレススチール製ブレスレットがメインですが、どのモデルもシンプルであるがゆえに、レザーベルトの種類を替えると時計の表情も大きく変わります。
2EZM3 / EZM3.F
EZM3は、過酷な状況下におけるダイビングのために開発されたジンを代表するミッションタイマーです。クォーツムーブメントを搭載した時計では、電子的干渉や内部電源の故障によりリスクが生じる可能性があるところでも、Arドライテクノロジーや80,000A/mの耐磁性能、低温や高温での温度耐性といった高度なジン・テクノロジーによって保護された機械式時計のEZM3は、常に頼りになる相棒となります。
500mの防水性を備えたダイバーズウォッチのEZM3と対をなすミッションタイマーが、EZM3.Fです。モデル名の「F」は「FLIEGER(英語ではパイロット)」の頭文字。パイロットウォッチであるがゆえに、分刻みで両方向に回転するカウントダウン式パイロットベゼルを搭載し、20気圧の防水性能を備えています。
どちらのモデルも装着感の高い41mmのケースは、左側の逆位置にリューズを配置しているので、リューズを保護するとともに腕に当たることもなく動きの自由度が増します。
ブラウンレザーでクラシック感を出すのもよいですし、サンドマット仕上げを施したステンレススチール製ケースは精悍な印象なので、ブラックのシリコンベルトもマッチします。
3U50 Series
1,000m防水を備えたU1を、ケース直径44mmから41mmにサイズダウンしたモデルが、この500mの防水性能を備えたU50です。ケースに採用するUボート・スチールはドイツの鉄鋼メーカー ティッセンクルップのグループ企業である潜水艦を専門とするティッセンクルップ・マリン・システム製で、海水に対する耐性が高い素材です。
U50シリーズには、特殊結合方式により固定した逆回転防止ベゼルにブラック・ハード・コーティングを施したU50.SDRと、ケースにもブラック・ハード・コーティングを施したU50.Sがあり、いくつかの限定モデルも出ています。これらのモデルは、手の甲に当たらないようリューズは4時位置に装備しています。
U1で見慣れたダイヤルデザインですが、あらためて見てみると、どっしりと太い針は長短針の判別がしやすく、先が細くなったユニークなデザインです。
他のダイバーズウォッチと同様にこのシリーズでも赤い色を採用しているため赤いシリコンベルトとの相性も抜群で、気分を変えるのに役立ちます。ブレスレット仕様に変えると一層精悍な印象になります。
TOP3クロノグラフのトップ3
1103.B.AUTO / 103.B.SA.AUTO
1960年代からジンの伝統を受け継ぎながら一切の妥協なく作られてきた103シリーズのブラックダイヤルモデルは、コックピットの計器を思わせる変わらぬデザインを50年以上にわたり維持するロングセラークロノグラフです。レギュラーモデルの中では103.B.SA.AUTOと103.B.AUTOが、毎年のランキングの常連です。103.B.SA.AUTOは日常生活でその効果を発揮するサファイアクリスタルを備え、2018年6月からArドライテクノロジーが標準装備されています。103.B.AUTOにはかつてドイツ軍のミルスペックの指定だった強化アクリル製風防を搭載し、両方向回転式のパイロットベゼルはアルミ製です。どちらのモデルもビジネスに最適なスマートなブレスレット仕様からブラウン系のレザーベルトに付け替えると、ミリタリー系の雰囲気が増します。
アクリル風防は粘性や弾力があるため割れにくいという特性もさることながら、その形や感触に独特な味わいがあることから、根強いファンが多い仕様です。かつては多く使われていたこの素材は、傷が付きにくいサファイアクリスタルの登場により今では採用するブランドも少ないようです。
103シリーズの針やインデックスのスーパールミノバは、薄い緑色です。ベージュ系のキャンバスレザーともよく合います。
2EZM13 / EZM13.1
2021年に生産が終了したEZM13とその後継機EZM13.1は、ダイバーズウォッチの伝統的なスタイルを保ちつつ、技術的に一歩進んだ計測機器のひとつです。視認性に焦点を絞り経過時間を素早く直感的に読み取るために、6時位置に60分積算計を搭載しています。Arドライテクノロジー、高い耐磁性、低温や高温での温度耐性といったジン・テクノロジーに加え、二重パッキンにより完璧な密封性を実現したD3システムにより、水中でのクロノグラフ操作が可能です。500mの防水性能は、船級協会であるDNVが欧州潜水器具規格に基づき検証・認証しています。EZM13と後継機のEZM13.1の違いは、時間を表すアラビア数字のインデックスをEZM13.1では排除して、ダイヤルを極力シンプルにデザインしている点です。
ダイヤルの12時位置の2本の太いインデックスは、ミッションタイマーの証です。EZM13.1ではアラビア数字の表示はありませんが、この2本のバーインデックスで12時位置の判別が容易なため、時間を読み違えることもありません。
海の中では水深10mを越えたあたりから赤い色が見えにくくなることから、このモデルではダイビングに必要のない部分を赤で表示しています。必要な要素のみを際立たせるためです。
3356.FLIEGER / 356.SA.FLIEGER
356シリーズのファーストモデルは、1996年に300本限定で作られた手巻式ムーブメントを搭載した日本企画によるクロノグラフでした。1940年代を彷彿とさせるクラシックなダイヤルデザインとアクリル製風防のモデルは瞬く間に完売となり、数年後にレギュラーモデルとしてムーブメントを自動巻にしたこの356.FLIEGERが誕生しました。以来、スタイルを変えることなく長きにわたり愛され続けているのです。同じスタイルで風防をサファイアクリスタルにしたものが356.SA.FLIEGERで、この2つのブラックダイヤルのモデルはコレクション中で常に人気のクロノグラフとなっています。356シリーズにはそのほかにギョーシェ彫りのシルバーダイヤルをそなえたモデルがあり、さらにひとまわり大きな42mmのケースサイズを持つ358シリーズがあります。
356.SA.FLIEGERのサファイアクリスタルは通常の曲面サファイアクリスタルではなく、従来のアクリル風防と同様のフォルムを持つボックス型のサファイアを採用しています。この5種類の異なる曲率半径を持ったサファイアクリスタルは、厚さ5mmのソリッドガラスから切り出され慎重に研磨されます。この複雑な工程を経ることで、従来のフラットなガラスに比べ耐久性とクラシックな外観を高めています。
今回のランキングは限定品を除くレギュラーモデルで統計をとったため、 誰もが知るよく見るモデルが並ぶ結果となりました。 これぞ「Sinn」と言える不動の人気を誇る時計たちです。
しかしながら、ここに登場しなかったモデルも ジンの時計作りの哲学と、同じこだわりが詰まっている 「使うためだけの時計」であることに違いはありません。
このトップ10をきっかけに ご興味をお持ちいただいた時計を入り口として ジンの世界に一歩足を踏み入れていただけましたら幸いです。