Mail magazine special contents vol.60

ジン・テクノロジーを体感するならシンプルスタイルの
856シリーズで

856

 ジンのコレクションで、毎年人気ランキングの上位にランクインする「556.A」は、vol.52の「シンプルモデルの大解剖」などをはじめとするメールマガジンでも何度かご紹介したとおり、コックピットクロックの製作で培ったノウハウで視認性を重視したパイロットウォッチで、ジン・テクノロジーを搭載していないシンプルを極めたモデルです。では、シンプルなモデルでジン・テクノロジーを体感するとしたら・・・・それなら「856」シリーズがオススメです。というわけで今回のメールマガジンでは、この556と、同様に人気の高い856の違いをおさらいするとともに、856シリーズとその派生モデルについてご紹介いたします。

 もともと856シリーズは、アップグレードしたマグネチック・フィールド・プロテクションを搭載したデュオクロノグラフ「756」の三針タイプとして、第二時間帯表示を搭載し2003年に誕生しました。シリーズの中で556.Aに一番近いモデルが2011年に加わった第二時間帯表示のない「856.B」です。では、この2つのモデルの違いとは・・・・。

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856.B
856.B
556.A
556.A
ムーブメント SW300-1 SW200-1
駆動時間 42時間 38時間
耐磁性能 80,000A/m
(マグネチック・フィールド・プロテクション)
4,800A/m
ケース直径 40mm 38.5mm
素材 ステンレススチール 904L
(耐傷性の高いテギメント加工
ステンレススチール 316L
仕上げ サンドマット仕上げ ヘアライン仕上げ
裏面 ステンレススチール サファイアクリスタル
その他の
テクノロジー
Arドライテクノロジー なし
税込価格 53万3,500円※ 29万7,000円※
ダイヤル
バリエーション
ブラックダイヤルのみ ブラック、シェルダイヤル、カラーダイヤルなど多数

856シリーズを見る

556シリーズを見る

ジンを代表する3つのテクノロジーを搭載

 ジンが時計作りで目指しているのは、ビジネスシーンはもちろん極地探検や水面下、漆黒の暗闇や雲の上、砂漠や熱帯雨林など、身に着ける場所がどこであろうと絶対に信頼できる腕時計を開発することです。そのためにジンのウォッチメーカーやデザイナー、エンジニアのチームは様々な環境における耐久性を追求し、それに必要な技術の開発に注力してきました。特に1994年にローター・シュミットが会社を引き継いで以降、ジン・テクノロジーと名付けた時計業界においてジン以外では見ることのない数々のテクノロジーを開発しました。856シリーズには、どのモデルにも共通してジンを代表する3つのテクノロジーが搭載されています。

  • 80,000A/mの高耐磁性能マグネチック・フィールド・
    プロテクション

    マグネチック・フィールド・プロテクション
    軟磁性素材のリング、文字盤、裏蓋でムーブメントを囲み磁気を遮断する技術。ドイツ工業規格DINの耐磁時計に定められる4,800A/mや、日本工業規格JIS第二種耐磁時計の16,000A/mをはるかに凌ぐ
  • セラミック以上の高硬度テギメント

    テギメント
    窒素を使用した浸炭加工を施し素材を硬化させる技術。ブラックPVDとテギメント加工のものをブラック・ハード・コーティングと呼び、表面硬度は段階的に基礎鋼材の硬度へと移行する
  • 湿気から時計を守る除湿機構Arドライテクノロジー

    Arドライテクノロジー
    水分を除湿するドライカプセル、放電腐食を防ぐプロテクトガス、水分の浸透を抑えるEDRパッキンという3つの要素で時計内の湿気を取り除く。精度を安定させ、急激な温度変化での風防の曇りも防止する

機能は同等ながら素材や仕上げにこだわる856

856

 856.B556.A、2つのモデルの機能や20気圧の防水性、減圧耐性、20mmのベルト幅は同じです。素材に関していうと856.Bは高い耐傷性のテギメント加工を施しているため、同じスステンレススチールでも錆や酸に強い「904L」という耐蝕性に優れたステンレススチールを採用しています。この金属は高い加工技術を要する素材であることから、時計業界ではごく一部の限られたブランドしか採用していません。ジンでは現在テギメント加工を施す時計のステンレススチールにはすべて904Lを使っています。丸に三角形を組み合わせたマークの刻印は、テギメントの証です。セラミックと同等の高い硬度を実現するテギメント加工により、856シリーズは長期にわたり最初に手にしたときの美しさそのままを保つことができます(傷に対する耐久性は高いですが、ぶつけたらへこみますのでその点はご注意ください)。

856
856

 また、ケースやブレスレットの仕上げについては、反射を防ぐサンドマット仕上げを施している856シリーズに対し、556シリーズは日常使いにおける質感を高めるためヘアライン仕上げになっています。856シリーズはプロフェッショナルパイロットたちの装備を考慮して、彼らが高高度で遭遇する強い光に対する反射防止を徹底的に追及しています。

ケース直径40mmの856.B
ケース直径40mmの856.B
ケース直径38.5mmの556.A
ケース直径38.5mmの556.A

856シリーズのバリエーション

 856シリーズの最もシンプルでベーシックなモデルが856.Bと、ケースとブレスレットにブラック・ハード・コーティング仕上げを施した856.B.Sです。時・分・秒表示と日付表示のみのミニマルなスタイルで、デザイン的に最も556.Aに近いパイロットウォッチです。556シリーズには現在、ケースにブラック・ハード・コーティング仕上げを施したモデルはありませんので、このテイストを楽しみたいならこの856.B.Sしかありません。

 前述の856.B856.B.Sに第二時間帯表示機能を備えたモデルが856856.Sです。24時間式の第二時間帯表示は、頻繁に異なる時間帯を持つ場所に旅する人には理想的な機能です。回転ベゼルでの表示や、小さなインダイヤルで表示する第二時間帯に比べ、センター配置の24時間式第二時間帯表示は読み取りしやすく、第二時間帯の目盛とメインのインデックスの大きさには明確な違いを付け、針も黄色い矢印形にしているため、同じダイヤル上でも見紛うことはありません。このタイプのデュアルタイムウォッチは、時計と太陽を使ってコンパスとして使用する際にも、瞬時の判読が容易です。

 さらに、上記4つそれぞれのモデルに両方向回転式のパイロットベゼルを装備したのが857シリーズです。この回転ベゼルにもテギメント加工が施されており、ジン・テクノロジーのひとつである特殊結合方式で時計ケースに固定されているため、衝撃を受けても外れることがありません。回転ベゼルの12時位置には三角形の夜光マーカーが付いているため、暗所での計測にも適しています。

 もうお気づきかもしれませんが、ジンのモデル名でブラック仕上げのモデルに付く「S」の文字は、ドイツ語で「黒」を意味する「schwarz」の頭文字から来ています。

 コックピットクロックの製作で培ったノウハウを結集し作られた556.Aは、瞬時に時間を読み取るための視認性や、精度、耐久性といった点でコックピットクロックのスペックを踏襲している堅牢なパイロットウォッチです。外観は良く似ている両シリーズですが、外部環境からの耐性、素材、追加機能という点において、それらをさらにアップグレードしたのが856シリーズと言えるでしょう。

856
856

 『使うためだけの時計』というジンの時計作りの哲学からすると、どちらかに優劣を付けるわけではなく、身に着ける人にとって何が必要か、どんなスペックを使ってみたいかにより、自ずと決まってくるものです。『ハードスペック&テクノロジー』を求めるなら856シリーズを、『コンパクト&ミニマル』を求めるなら556シリーズをオススメいたします。

※価格はメールマガジン配信時2023年11月時点のものです。