Mail magazine special contents vol.61

シリーズ誕生25周年記念モデル356.FLIEGER.KLASSIK series

 ジンのコレクションの中には50年以上の歴史を誇る103や、25年以上前から続くEZM、20年以上の206など、長く愛され続けているシリーズがあり、それぞれの周年記念では限定モデルを発表してきました。今年、ジンのクロノグラフの中でもクラシックなスタイルで定評のある356シリーズが25周年を迎え、これを記念した3つのクロノグラフが誕生しました。

歴史のはじまりは日本限定モデルから

 356.FLIEGER誕生のきっかけは1996年にジンが日本市場のために300本限定で製作したクロノグラフでした。サンドマット仕上げのステンレススチール製ケースに強化アクリル製風防とValjoux7760を搭載した手巻式のクロノグラフで、’40年代を彷彿とさせるクラシックな外観を持つパイロットウォッチです。当時はまだ文字盤には「TSWISS MADE T」と表示していました。

356.FLIEGER
356.FLIEGER
356.FLIEGER
356.FLIEGER

 この300本限定のクロノグラフは瞬く間に完売し、日本市場のみならず世界的にも注目度が高かったことから、1998年、ジンは自動巻のValjoux7750を搭載した「356.FLIEGER」を正式にコレクションに加えました。以来、356は今日に至るまでジンのコレクションを代表するクロノグラフのひとつとなっています。

356.FLIEGER

 そして、25年を経た今年、356.FLIEGER.KLASSIKシリーズが誕生したのです。25周年を記念したこの新しいクロノグラフは、356シリーズにはこれまでになかったバイコンパックスのツーカウンターを持っています。

バイコンパックスの魅力

356.FLIEGER

 “バイコンパックス”とはふたつのインダイヤルが水平に並んだレイアウトのことを指します(※)。1900年代前半に登場し、その多くが9時位置にスモールセコンド、3時位置に分積算計をレイアウトしています。一般的なクロノグラフが備える12時間計を省いているため長時間の積算機能はありませんが、30分ないしは60分までの積算ができますので、一般的なクロノグラフ機能としては十分と言えます。バイコンパックスの魅力は、左右対称のデザイン的な優美さに加え、必要最小限の機能に絞ることでよりシンブルで見やすいクロノグラフであるという点にあります。そんなことから、1940年代以降いくつかのブランドが軍用時計としてこのスタイルを採用し、多くの時計がドイツ軍に納入されました。バイコンパックスのレトロ感の高いデザインは、こんな時代の時計を彷彿とさせます。

※もともと“コンパックス”という名称はサブダイヤルの数ではなく、時計の複雑機構を指しているとする説もありますが、現在ではサブダイヤルの数を表し、横にならんだツーカウンターを“バイコンパックス”と呼んでいます。

 歴史を紐解くと、ジンのバイコンパックスのルーツは1960年代に遡ります。代表的なものは「155」シリーズで、のちに縦三つ目の103シリーズや156シリーズに派生して、103は現在もジンを代表するクロノグラフとなっています。この155のバイコンパックスのスタイルを一番色濃く受け継いだのがモデル「158」です(500本限定につき完売)。

155.BW
155.BW
158
158

 さらに現行モデルの中には回転ベゼルは付いていませんが「936」というバイコンパックスクロノグラフがあります。スモールセコンドと30分積算計というバイコンパックスの一般的なレイアウトの158に対し、936のクロノグラフは60分積算計なので、より長時間での計測が可能です。936は、シリンダー型のケースにすっきりとしたツーカウンターのダイヤルを備え、耐傷性を高めるテギメント加工や高耐磁性を作り出すマグネチック・フィールド・プロテクションを採用した、才貌両全なクロノグラフです。

936
936

356シリーズ25周年記念クロノグラフ

 バイコンパックススタイルのクロノグラフ最新作で、今年356シリーズの25年を記念して誕生した「356.FLIEGER.KLASSIK」シリーズには、限定500本の記念モデル「356.FLIEGER.KLASSIK.JUB」、グラデーションダイヤルにアイボリーカラーのインデックスがヴィンテージ感の高い「356.FLIEGER.KLASSIK.AS.E」、女性ウケも良いと言われているパンダダイヤルの「356.FLIEGER.KLASSIK.W」の3種類があります。直径38.5mmの時計ケース、10気圧の防水性と減圧耐性、ダイヤルの『FLIEGER KLASSIK』の文字表示、短時間計測用に1/4秒を表示するスケールは、このシリーズの共通仕様です。

クラシックな顔立ちながら
クールでスマートな印象の
356.FLIEGER.KLASSIK.JUB

356

 3種類のクロノグラフの中で、唯一の限定モデルがこの「356.FLIEGER.KLASSIK.JUB」です。ジンはブランドの周年記念といったアニバーサリーモデルのダイヤルカラーには、アンスラサイトを採用することが多く、このモデルも例外ではありません。ベースカラーのアンスラサイトにシルバーマットのツーカウンターがバイコンパックスのレイアウトを際立たせています。視覚的な完成度を高めるために、時針、分針、秒針はロジウム仕上げされ、磨き上げられ、夜光処理が施されています。

356.FLIEGER.KLASSIK.JUB
  • 世界限定500本、ローターにはシリアル番号を刻印
  • ダイヤル12時位置のブランドロゴはアプライドスタイル
  • ケースの仕上げはヘアラインマット
  • ハイドーム型のサファイアクリスタル
  • シースルーバック
  • 色違いのヌバックボアレザーストラップ1本付属
356.FLIEGER.KLASSIK.JUB
356.FLIEGER.KLASSIK.JUB
356.FLIEGER.KLASSIK.JUB

 標準仕様はアンスラサイトのダイヤルにマッチしたグレーとサンドカラーの2種類のヌバックボアレザーが付属されますが、このモデルには別売りのサテン仕上げ3連ブレスレット(税込価格 ¥49,500※)とサテン仕上げ5連ブレスレット(税込価格 ¥82,500※)を付けることができます。

356.FLIEGER.KLASSIK.JUB

直径38.5mmの着けやすいサイズ感ながら、腕に華やかさと圧倒的な存在感を添えます。

セピア色の配色がノスタルジックな356.FLIEGER.KLASSIK.AS.E

356
356.FLIEGER.KLASSIK.AS.E

 「356.FLIEGER.KLASSIK.AS.E」は、ジンのパイロットウォッチでは珍しいグラデーションダイヤルを採用しています。ダイヤル中央のアンスラサイトカラーから外側のほぼブラックに近い色までのグラデーションがマットシルクのダイヤル上に施され、ブラックのツーカウンターとバランスの取れた調和を生み出しています。針とインデックスのアイボリーカラーは全体のヴィンテージ感を高め、12時位置の「Sinn」のホワイトロゴを際立たせています。このモデルは強化アクリル製風防を備えていますので、よりクラシックな印象が強いクロノグラフです。

356.FLIEGER.KLASSIK.AS.E

 サンドマット仕上げの直径38.5mmのケースには、同じ仕上げのステンレススチール製ブレスレット仕様もあります。ブレスレット仕様にすると、レザーのヴィンテージ感から一転してスポーツモデルらしさが加味されます。腕を動かすとアンスラサイトカラーの上で、サンドマットのロジウム仕上げを施した針が鈍い光を放ちます。

ノーブルでクロノグラフの視認性が高い356.FLIEGER.KLASSIK.W

356.FLIEGER.KLASSIK.W
356.FLIEGER.KLASSIK.W

 白と黒のカラーリングにファンが多いパンダダイヤルを備えた「356.FLIEGER.KLASSIK.W」は、徹底的にモノクロにこだわって作られています。ロジウム仕上げを施した他の2モデルの針とは異なり、このモデルの針のフレームはブラックカラーで夜光塗料もホワイトを採用しています。もちろん「Sinn」のロゴはブラックです。ホワイトダイヤルはとてもノーブルな印象で、コントラストがはっきりとしたブラックのツーカウンターで視認性も抜群です。

356.FLIEGER.KLASSIK.W

 ダイヤルは明快なホワイトでスタイリッシュでありながら、ケースにはサンドマット仕上げが施されていますので、とても落ち着いた印象です。ホワイトダイヤルは標準装備の2色のボアレザーストラップはもちろん、どんな色のレザーも合わせやすく、ジンにはこのモデルのサイズに適応した様々なレザーやカラーのベルトがありますので、それらに付け替えてお楽しみいただけます。

356.FLIEGER.KLASSIK.W

2023年秋に誕生した新しい356には今までにない新たな魅力が加わりました。それでもジンらしさを感じるのはモノづくりの芯が一本通っているからこそ・・・・。是非、手に取ってジンの最新スタイルをご覧ください。

※価格はメールマガジン配信時2023年12月時点のものです。