Mail magazine special contents vol.70

伝説的モデルの後継機156.1シリーズの誕生

2024年9月1日、ジン社長ローター・シュミットがジンを引き継いでちょうど30年が経ちました。今年はその30年を記念する意味でジンの歴史的モデルのいくつかが最新仕様を備えて再登場しています。その一つで9月1日に発表した「156.1シリーズ」が早くも日本に上陸しました。

156.1
156.1

 この新作156.1シリーズの前身モデルは、ジンのコレクションの中でも絶大な人気を誇る歴史的タイムピース「155」です。155は、1980年から1990年代初頭にごく少量販売した「ダブルストップ機構クロノグラフ(1960年代にドイツ連邦軍での通称)」で、Valjoux230を搭載したジンの中でも入手困難なコレクターズウォッチの1つです。

155初期モデル
155初期モデル
156
156
156 MILITARY
156 MILITARY
写真左から155初期モデル、156、156 MILITARY

 その後継機種として生まれたモデル156と156 MILITARYは日付と曜日表示を備え、156はセンターにクロノグラフ分針を配したレマニア5012を、156 MILITARYは 24時間表示ディスプレイにセンターのクロノグラフ分針を配したレマニア5100ムーブメントを搭載していました。通称「156.B」と呼ばれた156 MILITARYが、日本に上陸した最初のジンでした。この156.Bの日本上陸当時のエピソードはメールマガジンvol.9「温故知新」で詳しくご紹介していますので併せてご覧ください。そして、この伝説的なムーブメントこそが、のちのジンSZ01の設計の基となり、新作156.1シリーズにはこのインハウスムーブメントSZ01を搭載しています。

ダイヤルセンターのクロノグラフ60分積算計

156.1.E
156.1.E

 156.1シリーズの最大の特徴は、同軸積算計で中4針のレイアウトを持つジンのインハウスムーブメントSZ01に反映されています。

SZ01ムーブメント

 156.1シリーズの最大の特徴は、同軸積算計で中4針のレイアウトを持つジンのインハウスムーブメントSZ01に反映されています。定評のあるコンセプト社のC99001をベースにしているジンのSZ01は、クロノグラフの60分積算計の針がセンターに配置されており、この構造には2つの大きな利点があります。一つは飛行機形の針を持つ積算計が1回の針の動きで通常の30分ではなく60分を計測するという点。もうひとつは積算計がスモールダイヤルではなく時計のダイヤル外周の目盛で読み取るため見やすいという点です。SZ01を搭載したクロノグラフは、より簡単に、素早く正確な時間計測を可能にしています。

 SZ01ムーブメントは155の伝統を審美的に再現したサンドマット仕上げを施した直径43mmのケースに組み込まれており、カバーガラスにはサファイアクリスタルを採用。初代モデルで使用したアクリルガラスよりも傷がつきにくいのが特徴の一つです。テギメント加工を施した回転ベゼルは、このシリーズでは初めて特殊結合方式を採用しビスを使って固定され、外れることなくスムーズに回転させることができます。

156.1

 新たに誕生した156.1シリーズには世界300本限定の「156.1.E」とレギュラーモデルの「156.1」の2種類があります。

世界300本限定の156.1.E

156.1.E

 世界限定300本の「156.1.E」は、アラビア数字のインデックスと時分針にアイボリーカラーの夜光塗料を採用し、回転ベゼルのテギメント加工にはグレーカラーを採用することで、ヴィンテージ風のルックスを作り出しています。

航空高度計のコールスマン・ウィンドウを模した日付表示

 歴史的モデルと異なるポイントとして新しく採用したのは3時位置の扇形の日付表示のデザインです。コールスマン・ウィンドウと呼ばれるこのスタイルは、ドイツ系アメリカ人の発明家ポール・コールスマンが発明し、のちにコールスマン社より発売された航空機のコックピットに搭載される気圧高度計を模しています。パイロットはフライト前に高度計のコールスマン・ウィンドウに表示される数値を高度計規正値に合わせなければなりませんが、時計も使用前には日付表示の調整を行う必要があります。あたかも航空計器を調整するような気分になれるのがジンらしいところです。

156.1.E

付属のベルトとともに特別ケースに収納

 ステンレススチール製ブレスレット仕様の限定モデル156.1.Eは、ブラックのヴィンテージ・カウレザー1本が付属され、ベルト交換ツールとともに特別ケースに収められます。

付属のベルトとともに特別ケースに収納
156.1.E
付属のストラップ装着例
156.1.E
裏蓋にはシリアル番号を刻印

レギュラーモデルに加わった156.1

156.1

 歴史的モデル155の流れを汲み、計測機器としての視認性を最大限に追求した156.1は、伝統と現代性を融合し調和のとれた外観が特徴のパイロット・クロノグラフです。

一目でわかる飛行機形の60分積算計針

 156.1シリーズをはじめとする中4針のクロノグラフでは、中心から伸びる針のうち60分積算計の針は飛行機の形をしているので、クロノグラフ操作時にはとても判読しやすいデザインとなっています。モデル156.1ではその針にたっぷりと赤い塗装を施しており、クロノグラフに関係した針をすべて赤で連動させているので、一目瞭然の配色です。

156.1

暗所での視認性も確保

 アラビア数字のインデックスと時分針、回転ベゼルの12時位置のラウンドマーカーには夜光処理が施されていますので、暗所での視認性もしっかりと確保されています。インデックスはアラビア数字なので、暗闇の中でも時計の向きを間違えることはありません。

156.1

 156.1はブラックのヴィンテージレザー仕様とステンレススチール製ブレスレット仕様が標準ですが、別売りのライナー付きレザーストラップやキャンバスレザー、そのほかラグ幅22mmのレザーであれば取り付けることができますので、時計のイメージを変えるのに役立ちます。ベルトのバリエーションはこちらから。

レザー仕様
レザー仕様
ブレスレット仕様
ブレスレット仕様
別売り(27,500円※)のライナー付きレザー装着例
別売り(27,500円※)の
ライナー付きレザー装着例
別売り(16,500円※)のキャンバスレザー装着例
別売り(16,500円※)の
キャンバスレザー装着例

 どちらのモデルも直径43mmのケースは存在感を感じさせつつも幅のあるベゼルが引き締まったイメージを作っており、腕に着けたときに大きさを感じさせないサイズ感です。回転ベゼルには傷が付きにくいテギメントをベースとしたハード・コーティングが施されているので安心して使用できます。反射のないサンドマット仕上げのケースは計測機器そのもののイメージで、落ち着いた印象です。

156.1.E
156.1

新しいカラーリングとイメージをまとった限定の156.1.E針の赤い色がポイントになったジンらしい配色の156.1モダンな表情をまといながらも往年のジンの歴史的モデルを彷彿とさせます。

どちらのダイヤルにも特別なモデルにのみ冠される「FRANKFURT AM MAIN」の文字が付いたロゴマークが配されています。そういった意味でもトップ・オブ・ザ・トップと言えるクロノグラフでしょう。進化し続けるジンの新たなる「156」を是非手に取ってご覧ください。

156.1.E

※価格はメールマガジン配信時2024年9月時点のものです。